国連の専門機関である世界気象機関(WMO)は、2023年7月の世界の平均気温が観測史上最も暑くなるとの予測を発表しました。これを受け、国連のグテーレス事務総長は「地球沸騰化の時代が到来した」と述べました。
世界屈指の科学者集団IPCCによると、主に化石燃料の使用によって、産業革命前と比べて世界の平均気温は2021年までにすでに1.09°C上昇しています。1°Cの平均気温上昇は、地球に多大な影響を及ぼすと考えられています。
平均気温が2°Cまで上昇してしまうと、人間の影響がない場合には10年に1度の猛暑が5.6倍、豪雨が1.7倍に増え、珊瑚礁の99%が失われ、北極圏の氷も10年に1度のペースで消滅してしまうと予測されています。私たちがもし、何も行動を起こさなければ、地球の平均気温は今世紀末までに最大3.3〜5.7°C上昇すると考えられます*。
2015年のCOP 21で採択されたパリ協定では、「気温上昇を2°Cより十分低く保つとともに、1.5°Cに抑える努力を追求すること」が世界共通の長期目標として掲げられました。しかし、科学者たちは現在の各国の2030年の中期目標では、1.5°Cは到底達成できないと警鐘を鳴らします。温暖化を1.5°Cに抑える方法は存在します。しかし、そのためには、これまでにない変革が必要となるのです。
*地球温暖化に懐疑的な意見もありますが、IPCCの最新の第6次報告書では温暖化が人類の活動によるものだと「疑う余地がない」と述べられており、前回の第5次報告書の「可能性が極めて高い(95%以上)」よりも確度が高い表現となっています。