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気候活動家たちが保険監督者国際機構(IAIS)に求めることとは?

11月9日の朝、気候変動に取り組むNGOや市民活動家が、保険業界における気候変動対策のさらなる加速を求めて、保監督者国際機構(IAIS)の年次総会の会場前でアクションを行いました。

  • 保険監督者国際機構(IAIS)とは?

IAISとは、世界の国や地域で保険業界の監督を担当する政府機関の団体で、約200の機関が参加しています。日本では、金融庁がこの保険監督機関に当たり、IAISのメンバーとして参加しています。IAISは、各国・各地域の保険監督機関のために世界的な原則、基準、ガイダンス、およびサポート資料などを作成しています。(IAISの英語HPはこちら)

  • 気候活動家たちがIAISに求めることは?

アクションの約1週間ほど前、世界の環境NGO33団体の共同署名レターをIAISに送付しました。レターでIAISに求めたことは以下です。(英語のレターはこちら)

  1. 環境リスクに対し予防的アプローチを取る
  2. 信頼性のある移行計画に関するガイドラインを設定する
  3. 業界が気候リスクを悪化させることがないようにリーダシップを取る
  4. 気候危機の原因となっている企業が公共資金などの支援を得ることがないよう注意する
  5. 気候科学に基づいで活動する

その後、レターに関してIAISから返答があり、私たちはIAISと会議を行うことになりました。会談で主な論点となったのは、2と3でした。しかし、IAISは保険監督機関の義務の範囲について強調し、保険会社に移行計画を求めることに関して消極的な印象でした。

また、来年には、保険業界の移行計画に関して保険監督機関がどのように貢献できるか検討を行う計画があるとしつつも、保険会社に移行計画を求めることは保険監督機関の義務的な業務ではないと述べており、今後どのようなスピード感でどれほど重要な枠組みができるのかについては、依然として疑問が残ります。

ウガンダのアクティビスト、ペイシェンスさんは動画の中で「私たちは気候の緊急事態の中で生きています」と言います。

日本では災害などの非常事態が起こった際、多くの人々が互いの立場や義務を超えて協力する「困った時はお互い様」という考え方があり、その姿は世界中から讃称されています。世界中で多くの人々が自然災害の脅威にさらされている今、私たちは縦割りの構造から脱却し、ネットゼロ社会の実現のため互いに最大限の協力をする必要があります。

大手損害保険会社は、気候変動を悪化させる要因である化石燃料事業に対し、保険引受を通じていまだに支援を行っています。しかし、今回のIAISの年次総会において、気候変動の激化を防ぐために保険業界で何ができるかということは、私たちが知る限り一度も議題に上がることはありませんでした。IAISには、世界中で行われている脱炭素の取り組みを“保監督機関の国際機構”として支援するため、気候変動の激化に拍車をかける保険業界を変えるために効果のある取り組みを行うことが、今後期待されます。

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