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共同声明「MS&ADが石炭火力の保険引受を全面停止〜問われる東京海上とSOMPOの対応〜」を発表

共同声明:
MS&ADが石炭火力の保険引受を全面停止
〜問われる東京海上とSOMPOの対応〜

「環境・持続社会」研究センター(JACSES)
気候ネットワーク
国際環境NGO FoE Japan
国際環境NGO 350.org Japan
メコン・ウォッチ

6月25日、日本の大手損害保険会社の1つであるMS&ADインシュアランスグループホールディングス株式会社(以下、MS&AD)が今後計画される石炭火力発電への保険引受を全面停止する方針(※1)を発表しました。MS&ADは昨年9月に新設の石炭火力発電への引受を原則として停止していたものの、幅広い例外規定を設けていました(※2)。今回はその例外規定をなくし、方針強化を図ったものです。全面停止を表明した損害保険会社は日本で初であり、私たちはその先駆的な取り組みを歓迎するとともに、国内の大手損害保険会社である東京海上ホールディングスとSOMPOホールディングスに対しても少なくとも同様の方針を早急に表明するよう要請します。

一方、MS&ADは損害保険会社として引受方針の一層の強化が必要です。MS&ADは5月20日に「2050年ネットゼロの実現に向けた取り組み」(※3)を公表し、自社のオフィスや社員の通勤等で生じるCO2排出量を2050年までにネットゼロとする目標を掲げました。これはポジティブな取り組みと言えますが、MS&ADの本業で、ネットゼロに向けた肝心な取り組みである損害保険の引受ポートフォリオの排出量削減については他の2グループと同様、何らコミットメントがなされていません。

6月8日に開催された保険開発フォーラムでは、アントニオ・グテーレス国連事務総長が「損害保険会社は石炭及び化石燃料事業への保険引受を含めたポートフォリオにおけるネットゼロ目標を設定する必要があります。」(※4)と述べており、早急に引受ポートフォリオ排出量の2050年ネットゼロを目標に掲げるべきです。

また、5月18日に国際エネルギー機関(IEA)が発表した報告書「Net Zero by 2050, A Roadmap for the Global Energy Sector」によれば、新規の化石燃料採掘事業は行うべきではなく、発電セクターにおいては世界全体で2040年に排出量をネットゼロにする必要があります(※5)。したがって、2050年ネットゼロを達成するためには、石炭火力発電のみならず、新規の化石燃料採掘と石油・ガスを含めた新規の化石燃料発電の保険引受停止が必要になります。

さらに、東京海上ホールディングスとSOMPOホールディングスに対しても、引受ポートフォリオにおける2050年ネットゼロ目標の策定、石炭火力発電を含めた新規化石燃料事業への引受停止方針の策定を強く求めます。

脚注:
※1:https://www.ms-ad-hd.com/ja/news/news_topics/news_topics-20210625/main/0/link/20210625_msad_2050zero2_2.pdf
※2:NGO共同声明:MS&ADが石炭火力新方針を発表~3大損保の方針が出揃ったものの、方針強化が不可避~ https://sekitan.jp/jbic/2020/09/30/4768
※3:https://www.ms-ad-hd.com/ja/news/news_topics/news_topics-20210521/main/0/link/20210520_msad_2050zero.pdf
※4:https://www.un.org/sg/en/content/sg/statement/2021-06-08/secretary-generals-closing-remarks-insurance-development-forum (英語)
※5:International Energy Agency (IEA), (2021), Net Zero by 2050, A Roadmap for the Global Energy Sector, pp. 20, IEA, Paris, https://iea.blob.core.windows.net/assets/0716bb9a-6138-4918-8023-cb24caa47794/NetZeroby2050-ARoadmapfortheGlobalEnergySector.pdf.  

本件に関するお問い合わせ先:
「環境・持続社会」研究センター(JACSES) 田辺有輝(tanabe@jacses.org)

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