11月9日の朝、近々EACOPプロジェクトの保険提供者が決まるのではないかとの情報を受け、環境NGOや市民活動家が集まり、緊急アクションを行いました。
EACOPプロジェクトとは?
東アフリカ原油パイプライン(EACOP)プロジェクトとは、東アフリカで計画されているウガンダとタンザニアを結ぶ全長1443kmにもおよぶ世界最長の加熱式原油パイプラインの建設プロジェクトです。このパイプラインは、自然環境・生態系の破壊、現地住民の人権侵害、大量のCO2排出による気候変動の悪化など懸念が非常に大きく、世界中の環境NGOや市民活動家が強く反対しています。(#StopEACOPのページ(英語)
1)自然環境・生態系の破壊
- ビクトリア湖盆地:現地住民や生き物にとって重要な水源・食料源
- マーチソン・フォール国立公園:ゾウやチンパンジーなど、希少な野生生物が生息
2)現地住民の人権侵害
- 強制移住*、脅迫、土地収奪など
(*ウガンダとタンザニアですでに、数千人の人々が強制移住を強いられ、それぞれの国で100以上の村が消失)
3)気候変動を悪化させる
- 輸送された原油が全て消費された場合、年間約3300万トンのCO2が排出量される
なぜ東京海上?
損害保険会社として国内最大、世界ではトップ7位のシェアを誇る東京海上は、これまで世界中の化石燃料プロジェクトに保険を提供してきました。EACOPプロジェクトに反対する環境NGO、人権団体、市民団体などが参加する#StopEACOPキャンペーンが様々なデータを分析した結果、東京海上がEACOPプロジェクトの保険提供者となる可能性が高いとして注目しています。(#StopEACOPの損保ページ(英語)
東京海上の対応
これまで国内外の環境NGO、人権団体、市民団体が東京海上に対し、EACOPプロジェクトに保険を提供しないことを正式に発表するよう求めてきましたが、東京海上は「個別の案件に回答できない」としか回答していません。しかし東京海上は以前、アダニ社によるオーストラリアのカーマイケル石炭採掘プロジェクトに関しては、保険を引き受けないと回答したことがあるため、今回のEACOPに関しても保険を引き受けないと発表するべきです。
EACOPプロジェクトを止めよう!世界中で抗議の声、強まる
近々EACOPプロジェクトの保険提供者が決まるのではないかという情報を受け、先月ヨーロッパでは、いまだにEACOPプロジェクトに保険提供をしないと発表していない保険会社の前に多くのアクティビストたちが集まり、プロジェクトに関与しないことを求めて抗議活動を行いました。東京海上グループの子会社、東京海上キルンも、その保険会社の一つでした。
Patience, a Ugandan climate activist, explains how they’re on the frontline of #climatechange and they don’t want a pipeline that’ll open up more oil fields, damaging their farmland, displacing people and putting the water supply for millions of people at risk. #StopEACOP
🧵 4/5 pic.twitter.com/Xk8bLW4mcX— XR Money Rebellion 🌍🌱🏳️⚧️ (@money_rebellion) October 17, 2023
このことを受け、日本からも緊急アクションを行なった結果、ロンドンやマンチェスターでも東京海上に対する緊急アクションが行われました!
And in Manchester, @letsStopEACOPuk protesters made sure @tokiomarinehcc heard our calls to exclude insuring the East African Crude Oil Pipeline. #StopEACOP #InsureOurFuture https:// t.co/7hycoqw5ZL
— Insure Our Future Global (@InsOurFuture) November 13, 2023
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東京海上は日本、そして世界を代表する大企業にもかかわらず、SOMPO、MS&ADなど、国内の三大損保と比較しても、化石燃料の保険引受方針の取り組みは最も遅れています。先週21日、東京海上と同様に国連のイニシアチブNet Zero Insurance Aliance (NZIA) から5月に脱退したMS&ADは、保険引受と投融資のポートフォリオにおけるGHG排出量削減の中期目標を発表しましたが、東京海上が公開しているのはエンゲージメント目標のみで、保険ポートフォリオにおけるGHG削減目標を発表していません。(JACSESのPRはこちら)
世界屈指の科学者集団IPCCの研究によると、地球の平均気温を1.5C以下に抑えるためには、GHG排出量は遅くても2025年にピークに達し、2030年までに43%削減する必要があります。ここ数年間でどれだけ取り組みを進められるかが、未来の気候変動の激化を防ぐためには重要となります。
東京海上はもう見せかけの気候変動対策をやめ、EACOPプロジェクトをはじめとする、全ての石油・ガスの新規プロジェクトに対し、保険を提供しないという方針を早急に発表し、保険ポートフォリオにおけるGHG排出量削減の取り組みを進めることが求められます。Insure Our Futureでは、今後も東京海上の活動を注視していきます。