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NGO共同声明「MS&ADが石炭火力新方針を発表~3大損保の方針が出揃ったものの、方針強化が不可避~」を発表

2020年9月30日

NGO共同声明:MS&ADが石炭火力新方針を発表
~3大損保の方針が出揃ったものの、方針強化が不可避~

「環境・持続社会」研究センター(JACSES)
気候ネットワーク
国際環境NGO FoE Japan
国際環境NGO 350.org Japan
メコン・ウォッチ

9月30日、日本の大手損害保険会社のひとつであるMS&ADインシュアランスグループホールディングス株式会社(以下MS&AD)が「今後新設される石炭火力発電所の保険引受や投融資を原則行いません」と表明*1しました。これで日本の3大損害保険会社による石炭火力発電への保険引受方針が出揃いましたが、いずれも例外規定が幅広く、方針強化が不可避な状況です。

SOMPOホールディングス(SOMPO)や東京海上ホールディングス(東京海上)の方針と同様に、MS&ADの方針でも例外規定が含まれており、「ただし、当該国のエネルギー安定供給に必要不可欠な場合等については、慎重に検討のうえ、対応することがあります」と規定されています。しかし、Climate Analytics*2によれば、パリ協定の長期目標を達成するためには、先進国では2030年までに、途上国であっても2040年までに石炭火力発電所の運転を完全に停止する必要があります。世界では、すでに19の大手保険・再保険会社が石炭事業への引き受け停止、あるいは制限を表明しており、パリ協定の長期目標との整合性を確保するためには、例外規定を残しているMS&ADの方針では不十分です。

さらに、MS&ADの方針の対象は新規石炭火力発電事業への保険引受等に限定されており、石炭火力発電への依存度が高い企業や新規石炭火力発電所を計画中の企業向けの保険引受・株式/債券投資については対象としていません。気候危機を悪化させている石炭採掘や他の化石燃料関連事業についても、方針は示されていません。これらの点で、海外保険会社の投融資方針の水準*3と比べると、依然遅れをとっています。

したがって、石炭火力発電や石炭採掘への依存度が高い企業や新規石炭火力発電所を計画中の企業への保険引受・株式/債券投資から撤退する方針を掲げるべきです。また、科学的知見およびパリ協定の目標に基づき、石炭のみならず、炭素排出量の多い他の化石燃料産業への投融資の抑制方針を掲げることが重要です。MS&ADには、ベトナムのブンアン2石炭火力発電事業を含め新規石炭火力発電事業への保険引受を行わないこと、並びに方針の強化を求めます。

また、すでに方針を発表しているSOMPOや東京海上に対しても、石炭事業や石炭関連企業への保険引受・投資の停止方針策定を求めます。

本件に関する問い合わせ先:
「環境・持続社会」研究センター(JACSES)、田辺有輝
tanabe@jacses.org
国際環境NGO 350.org Japan、横山隆美
taka.yokoyama@350.org

*1: https://www.ms-ad-hd.com/ja/news/news_topics/news_topics20200930/main/0/link/20200930_Sustainability3.pdf
*2: https://climateanalytics.org/briefings/coal-phase-out/
*3: 海外の保険会社の石炭方針については、Coal Policy Tool(https://coalpolicytool.org/)を参照ください。

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